Skip to content
公開日:2018/08/15  最終更新日:2020/10/23

展示会で買った商品のクーリングオフについて徹底解説!法律専門の業者に依頼する方法も

皆さんが何らかの商品を購入した事例を想定しましょう。口頭でも書面でも対象物を購入する申込みを行い、売主がこれを承諾した段階で契約は成立し、売主は売買対象物を引き渡す義務を負い、買主は代金を支払い義務を負うことになり、それぞれの当事者が契約実現の為に行動する拘束を受けることになります。

これは契約の拘束力と言うものですが、売買当事者の意思の合致に、法的義務をかすことで円滑な経済生活が成立しているわけです。従って契約後に翻意して一方的に契約を破棄することは原則として行うことが出来ず、仮にそのような身勝手な振る舞いにでれば損害賠償や違約金の支払いを求められることになる訳です。

高額な商品を買って後悔、クーリングオフの可否を検討しよう

しかしこれは原則であって、このような契約の拘束力を認めることが妥当でない場合に契約の効力を否定し、救済を図るべき場面が出てきます。そのような消費者の保護手段の一つがクーリングオフと言う制度です。クーリングオフとは一定期間消費者に契約内容の妥当性を判断できる猶予を与え、一定の期間内であれば理由をつげることなく一方的に契約を白紙撤回できるというものです。特定商取引法や消費者契約法などの法律で規定されています。

この制度の趣旨は業者が強引に契約を迫ったり、重要な事実を告知しなかったなどの問題のある手法で締結されたことに起因する被害から消費者を保護する点にあります。したがって展示会等で高額な商品を購入したところが、後々冷静になって検討してみると購入の必要性も疑問が出たような事態に遭遇したときには、法律を確認しクーリングオフの適用の可否を検討する必要があるのです。

展示会で商品を購入したときの、クーリングオフとの関係

それでは展示会で業者から何らかの商品を購入した場合において、クーリングオフは行使できるのでしょうか。ここで問題になるのは業者との間で締結した契約の全てが、クーリングオフの適用を受けることが出来るわけではなく、行使できない例外的事由が存在する点にあります。その重大な例外の一つに「店舗(店舗に準じる場所も含む)で申込み、または契約をした場合」と言うものがあります。このような例外を規定する実質的根拠は、例えば広告を見て商品内容について十分判断できる環境にあったり、店舗に自らで向いて購入した場合には自らの意思で主体的に購入判断をした以上は、業者の不利益のもとに消費者を保護する必要はないと考えることが妥当だからです。そこで通信販売や店舗販売には適用されないわけです。

そこで問題になるのは展示会が開催されている展示場は、果たして店舗もしくはそれに準じる場所に該当するかの判断になります。仮に店舗等に該当すれば店で購入したのと同じとみなされ適用を受けることは出来ない反面、店舗に当たらないと判断されればクーリングオフで契約を白紙撤回できる余地が出てくるからです。この点、店舗に準じる場所の基準としては①最低2-3日以上の期間にわたって開催され ②商品を陳列し、消費者が自由に商品を選択することができる状況で ③ホテルや常設展示場等の展示場や販売の為の固定設備を有すること、以上の3点を充足して初めて店舗に順ずる場所に該当すると判断されることになります。展示会場を店舗等と判断できるのは上記の3要件をすべて充足することが求められるので、存外厳しいと評価出来るでしょう。

展示会で業者から購入したとき、クーリングオフを行使できるか?

店舗に準じるものとして認められるには案外厳しい要件が決められているので、週末に短期間で展示会場などで商品販売を行っていても、クーリングオフで無条件解約を行使できる場面が多いようにみえます。しかし展示会にも規模にはピンからキリまであります。なかには上記の3要件を充足するイベントも、開催されているのも事実です。典型的なのは常設展示場で業者が販売活動を展開している場合です。このような業者にあっては、店舗とみなされてクーリングオフの適用除外になる可能性が高くなるでしょう。

しかしこのような状況でも例外の例外が法律で規定されています。例えば会場現場で販売員に取り囲まれてしつこく勧誘されて、消費者が自由に商品を選ぶことが出来ないような条件下で契約した場合には、たとえ常設展示場で販売したとしても「訪問販売」に該当するのでクーリングオフが適用されることになります。また街中で呼び止められえて展示会場まで誘導された場合は「キャッチセールス」、商品販売と言う本来の勧誘目的を隠匿して呼び出された場合は販売目的隠匿型の「アポイントセールス」に該当するので、消費者契約法や特定商取引法などに基づき契約の取消し等を主張することが法律で認められています。したがって常設展示場で購入したときでも、契約成立に至る経緯に業者が非難されてしかるべき事由があるときは諦めないことが大切です。

なお、クーリングオフを行うと業者は違約金や損害賠償を一切請求できません。方法としては書面で行うことになり、その旨のハガキを発信すればそれで効力が発生します。尤も後日の紛議を避ける為に内容証明郵便で行うことをお勧めします。